- 子どもが体力をつけることのメリット
- 子どもの体力が年々低下している原因
- 子どもの体力をつける方法
子どもの体力の重要性とは?
子どもが体力をつけることの重要性は言わずもがな。例えば子どもは大人よりも免疫力が低いため病気にかかりやすいですが、病気にかかったときに体力がないと回復まで時間がかかってしまいます。つまり、保育園に子どもを預けられない日が増えてしまうのです。日々我が子が元気に保育園へ登園するためにも(我々が仕事を休んで看病する時間を1秒でも減らすためにも)、我が子には体力をつけて病気に負けない身体になってもらいたいものです。
また、体力がある子はやはり心肺機能や筋力が強いため、外遊びで怪我をするリスクも減らせますし、運動パフォーマンスも高まるため自尊心を保ちやすいです。そして自尊心が高いと外遊びやスポーツが好きになりやすいので、さらに積極的に運動をして、体力が向上して、と正のスパイラルに入ります。
親のストレスレスな育児生活と子どもの健全な成長のために、幼少期から体力をつけることは非常に重要なのです。
子どもの体力をつける5つのメリット
以下では、子どもの体力をつけること、また、体力をつける課程で得られる具体的なメリットを挙げてみました。
①健康な身体づくり
体力というよりも体力をつける課程で得る副産物となりますが、体力をつけるために行う運動は、心臓や肺、筋肉、骨を強化し、健康的で強靭な身体をつくりあげます。いかに文明の利器が発達した現代社会とはいえ、フィジカルを強くしておくに越したことがないという思想を持つ人は多いのではないでしょうか。持久力や筋力が向上することで、子どもは日常生活や運動において疲れにくくなります。さらに、運動をすることで骨密度が高まり、将来の骨折リスクを減らし、成長期における骨の健全な発達を促進します。また、運動を通じて代謝が活性化されることは、肥満予防にも繋がるのです。
②学習能力の向上
なんと運動により脳の血流が促進され、集中力や記憶力も向上するという研究結果もあります。つまり、体力をつけるための運動は、意図せず学習面でも良い影響を与えてくれるのです。特に有酸素運動は脳の前頭前野に良い影響を与え、計画力や判断力が向上することが知られています。自身の過去を思い返してみても、小学校くらいの時期は運動だけできて勉強は全くできないという子はあまりいなかったのではないでしょうか?『勉強も運動もなんでもできる子』が意外と多いのは、運動と学習に相乗効果があるためです。
③社会性の発達
幼児期、幼少期の運動というのは、大人が1人で行うようなランニングや筋トレとは違い、基本的にはコミュニティーやグループでの活動となります。そのため、チームスポーツやグループでの運動がチームワークやコミュニケーションスキルの向上に繋がり、社会性が育まれていきます。また、これらはルールを守ることの大切さを学ぶ機会にもなるのです。このような経験は、子どもが社会で適応しやすくなる(いじめ等のリスクを減らせる)だけでなく、他者との関係を築く能力を高め、健全な青春時代を送る可能性を高めてくれます。
④ストレスの軽減
運動はストレス解消にも非常に効果的です。科学的に説明すると、体を動かすことでストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が抑えられ、エンドルフィンが分泌されることで、気分がリフレッシュされます。これにより子どもは心身ともにリラックスし、情緒が安定します。学業や人間関係で意外とストレス負荷がかかる子ども時代において、運動はストレスを発散し、心の健康を保つ重要な手段となるのです。
⑤生活習慣病の予防
最近の文部科学省の調査によれば、肥満傾向にある幼稚園児や小学生の割合が増加しているという報告もあり、子どもの生活習慣病は社会問題にもなっています。
運動不足が原因で将来発症する可能性がある生活習慣病、例えば肥満や糖尿病、高血圧などは、子どもの頃から適切な運動習慣を身につけることで予防ができます。運動を通じて体脂肪をコントロールし、血糖値や血圧を安定させることができるのです。また、運動習慣が定着することで、健康的なライフスタイルが自然と身につき、それは大人になっても継続できる健康習慣の基盤となります。
子どもの体力低下の要因とは?
冒頭でも少し触れていますが、そもそも近年、なぜ子どもの体力低下が顕著に現れるようになっているのでしょうか。その背景にはどのような要因があるのか、大きな要因としては、以下の5つが挙げられます。
①環境的な運動不足
子どもの体力低下の先駆けとなる出来事としては、1980年頃から徐々に行われてきた文部科学省が掲げる教育方針の変換、いわゆる『ゆとり教育』のカリキュラムにより、体育を始めとした学校の授業数が減ってしまったことにあります。年々子どもたちの学力や体力が低下していくデータが得られたことから現在は教育カリキュラムが見直されてはいますが、なかなかデータ上の改善がなされていないというのが現実です。
また、単純に外遊びをする環境が減ったことで、子どもたちが運動する時間が不足しています。都市化や交通網の普及により、子どもたちの手軽なスポーツや外遊びの場であった空き地や生活道路は奪われてしまったのです。また、公園の遊具撤廃やボール遊びの禁止なども外遊びの選択肢を減らし、子どもが公園離れをする要因となっています。都市公園や公共のスポーツ施設は増加しているものの、子どもたちが日常的に自由に遊べる環境としては不十分です。
②デジタルデバイスの使用増加
スマートフォンやゲーム機の普及により、子どもたちが屋内で過ごす時間が増え、運動する機会が減っています。昔外遊びやスポーツに夢中だった大人でさえ、今は休日のほとんどをYouTubeやスマホゲームに費やすことも珍しくはないのですから、現代に生まれて来た子がこれらの誘惑に抗うというのは難しいのかもしれません。
③食生活の乱れ
高カロリー・高脂質の食事や不規則な食生活が体力の低下につながることもあります。少し前の時代と比べて、今の時代が特別飽食であったり、身体に悪い食べ物が増えているとは言い難いですが、コンビニやちょっとした軽飲食店の増加、ボタン一つで食べ物をオンライン注文できてしまう環境が、不規則な食生活に拍車をかけている可能性は高いです。また、②で挙げたYouTubeやゲームの時間はお菓子やジュースとの相性が良いことも原因の一つと考えられます。
④睡眠不足
十分な睡眠が取れないことでエネルギーが不足し、体力が低下する可能性もあります。これもデジタルデバイスの普及に繋がる話しではありますが、いつでもどこでも脳への刺激が強いブルーライトを浴びてしまうことで、睡眠の時間が減ったり睡眠の質が悪くなりやすい環境となっています。そして睡眠不足の怖いところは、1度睡眠不足に陥ると、体力低下の負のループに嵌ってしまうことです。どういうことかというと、睡眠不足で気だるく集中力のない状態では身体を動かそうという気が起きず体力の低下に繋がります。そして運動不足が快適な入眠の妨げにもなることから睡眠の時間が減るという悪循環が起きてしまうのです。
④過度のストレス
学校や家庭でのプレッシャーが、体力の低下や運動意欲の低下を引き起こすことがあります。子どもは理屈で動く生き物ではないため、どれだけ本人のためになる遊びや生活習慣を提案しても素直に受け入れてくれるとは限りません。そのため、子どものためを考えて教育をしたり環境を整えていても、それが子どもの意志にそぐわなければ思いの外ストレスに繋がってしまうこともあります。ストレス下ではどうしても子どもの活動意欲が低下してしまうため、良かれと思って行っていることが体力低下に繋がってしまうこともありえるのです。
子どもの体力アップの方法5つ
それではこのような現代の環境下で実際に子どもの体力をつけるには、どうすればよいのか。実際は各々の子どもに合ったやり方を見つけることが大切ではあるが、考え方としてポイントがいくつかあるため、参考にしてもらえればと思います。
①日常生活で無駄に動く
アホかと思われるかもしれませんが、子どもの体力をつけるためにはどれだけ日常の一部に無駄な動きを取り入れられるかが重要です。例えば通学路の登下校でも、省エネ移動をする子どもがいる一方で、究極に無駄な動きをしてただ歩くだけの何倍もエネルギーを消費する子どもも存在します。無駄に蛇行したり段差を登り降りしたり、親としては落ち着きがなくて心配になるかもしれませんが、子どもにとっては楽しい行動であり、運動にもなっているのです。
子どもが突拍子もない動きをしたり、通常よりも時間をかけて物事を行う場面があっても、しっかりと見守り尊重してあげましょう。
②さまざまな種類の運動を取り入れる
子どもが運動に飽きないようにするために、さまざまな種類の運動を取り入れることも効果的です。サッカーやバスケットボール、ダンスや水泳など、子どもが興味を持ちやすいスポーツを試してみましょう。走ったりボール遊びに興味の薄い子どもでもダンスには興味が持てたりすることもあるため、色々な運動を取り入れ、相性の良い運動をいくつか探してみましょう。また、異なる運動を行うことで、全身の筋肉がバランスよく鍛えられ、さまざまな運動能力が養われます。運動の種類を変え、楽しみながら続けることができれば、長期的な体力向上に繋がります。
③家族で一緒に運動する
家族で一緒に運動することは、子どもが楽しく運動を続けるための大きなモチベーションになります。例えば、週末に家族でハイキングに出かけたり、公園でボール遊びをしたりすることが良い例です。親が積極的に参加することで、運動が「家族の楽しい時間」として認識され、子どもにとって運動が身近で楽しいものとなります。家族一緒の活動は、子どもの運動習慣を育むだけでなく、家族の絆を深める効果もあります。
④適度な休息を確保する
運動による体力アップには、適度な休息が不可欠です。無理に運動を続けると、疲労が溜まり、逆効果となることがあります。運動後は十分な休息と睡眠を取り、体を回復させることが大切です。特に、成長期の子どもにとっては、睡眠が体の発育にとって非常に重要です。休息をしっかりと確保することで、体力向上の効果が最大化されます。
⑤バランスの取れた食事を摂る
運動による体力向上をサポートするためには、栄養バランスの取れた食事が欠かせません。特に、運動で消費したエネルギーを補給するために、適切な量の炭水化物、タンパク質、ビタミン、ミネラルを含む食事が重要です。例えば、運動後にはタンパク質を含む食事を摂ることで、筋肉の回復と強化が促進されます。また、朝食をしっかりと摂ることで、1日の活動に必要なエネルギーを確保し、体力アップを支える基盤を作ることができます。
体力を養うための生活上のポイントは?
体力づくりを効果的に進めるためには、運動だけでなく、生活全般にわたる工夫と対策が必要です。まず、規則正しい生活リズムを確立することが大切です。早寝早起きの習慣をつけ、十分な睡眠を確保することで、子どもの体力が自然と向上します。また、食生活も重要な要素です。朝食をしっかりと摂り、栄養バランスの取れた食事を意識することで、運動による体力増強がさらに効果的になります。最後に、精神的なリラックスも忘れずに。適度な運動と休息を組み合わせることで、心身ともに健康な成長をサポートします。
まとめ
子どもの体力をつけることは、健康的な成長を促進し、学習能力や社会性の発達、ストレスの軽減など、さまざまな面で子どもの生活を豊かにします。現代のライフスタイルにおいて、意識的に運動の機会を増やし、バランスの取れた生活を送ることがますます重要となっています。本記事で紹介した方法を参考に、子どもの体力づくりを家庭で実践し、お子さんの健やかな成長をサポートしましょう。